FL Studio vs Ableton Live (初心者向け)

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はじめに

FL Studio 20でMac対応になったようなので、最近Macbookにインストールしていろいろ弄っています。僕はこれまでさまざまなDAWを使ってきましたが(Sonar, Logic, DP, Ableton Live, Cubase, Pro Tools, Reaper)、FL Studioは中でも特段に異質なDAW!ここでは自分なりに感じた使用感を他のDAWと比較しながらもまとめていきたいと思います。なおどちらのDAWが優れているかということではなく,あくまで個人的に比較した所感です。

UI, デザイン

海外ではトラック制作においてトップに選ばれるFL Studioですが、日本で使っている人は少ないようです。一番の理由はおそらく、日本語に対応していなく情報が少ないのが理由だと思われます。これに関しては言語対応を怠っているわけではなく、デザインの観点から英語を選んでいるそうです。最初は英語だけのインターフェイスに戸惑いを感じるかもしれませんが、使う機能は決まってくると思うので、慣れてしまえばあまり関係ないと思いますよ。FL Studioは操作している時のアニメーションが視覚的に楽しいです。

一方Abletonはシンプルでミニマルな見た目になっています。好き嫌いは別れるかと思いますが,自分的にはFL Studioで作っている時の方がゲームをしているように面白く作れているような気がします。Abletonで作っている時はもっと瞑想に近い感じです(笑)

DAWはあくまで音楽制作のためのツール。一つのDAWを使い続けるのにこだわるのではなく、いろいろなツールを試してみるのもありではないでしょうか。きっといろいろと新しい発見があるはず。僕も他のDAWを使ったりして、こっちのDAWではこんなことができるけど、あっちのDAWでも同じことができるのかなどと勉強しているうちにいままで知らなかった機能などを知ることができました。

どちらが初心者向けか

複数のDAWを使う利点について述べてきました。とはいっても初めてDAWを購入する場合はどちらを選べばいいのか、悩む方も多いでしょう。特にエレクトロ系の音楽制作に興味のある方はFL StudioかAbleton Live、どちらかで迷っている人も多いはず(もしくはBitwig Studio)。僕はAbleton LiveとFL Studioをプロジェクトごとに切り替えて使っているので、どちらのDAWがおすすめというのはありませんが、それぞれの利点や違いなど簡単に比べたいと思います。

両方とも素晴らしいDAWで、どちらも多くの有名なアーティスト達がつかっているプロフェッショナルなDAWです(FL Studioは若干過小評価されている感がありますが…) 自分の好きなアーティストがどちらを使っているのかで決めても全然構わないと思います。きっとそのアーティストもDAWに搭載されているシンセやプラグインなどを使っていると思うので、自分が出したい音(=好きなトラック、アーティスト)を出すために少しでも近道になるはずです。大事なのはとりあえずデモでもなんなり試してみること。始めることで分かることもたくさんあります。

僕がFL Studioで優れていると思う点は、デモソングが沢山収録されているという点です。デモソングを立ち上げて、他のアーティストがどのように制作したりオーガナイズしているのか、見ているだけでもいろいろ学べます。Ableton Liveもいろいろなテンプレートをダウンロードしてみることは出来ますが、FL Studioはこれらのデモソングが最初からインストールされているということ。初心者の方にとっては有利になると思います。両者とも多くのチュートリアルビデオがあるので、プロダクションテクニックについてはその辺で学べますが、実際に他の人のプロジェクトを触って分析するのはとても勉強になります。

価格

価格面に関しては、両方とも廉価版から機能の豊富なパッケージまでバリエーションがあります。

FL Studio

FL StudioにはFruity Edition, Producer Edition, Signature, All Plugins Bundleの4種類のバージョンがあります。

FL Studioの機能比較

FL Studioでオススメなのは最低でもオーディオが取り扱えるProducer Editionと,ベースとなるProducer Editionにいくつかのプラグインが追加されているSignature Editionです。

FL STUDIO Producer Edition

FL STUDIO Producer Edition

FL STUDIO Signature Edition

FL STUDIO Signature Edition

Signature Editionは7種類のプラグイン(NewTone、DirectWave Full、Harmless、Fruity Video Player 2、Hardcore、Pitcher、Gross Beat)がProducer Editionに加えられます。特にHarmlessは僕のお気に入りのシンセで,これ単体で$79(約8000円)ほどするので,HarmlessのためにSignatureを手に入れるというのもありです。Signatureを購入してさらにプラグインが欲しくなったら,後でAll Plugins Bundleにアップデートすることも可能です。

またSignature Editionには,解説本が付属している製品もあります。

FL STUDIO Signature Edition 解説本バンドル

FL STUDIO Signature Edition 解説本バンドル

FL Studioは一度製品を購入すると,生涯アップデートが無料でできるというのも注目すべき点ですね。

Ableton Live

Ableton LiveにはIntro, Standard, Suiteの3種類があります。

Ableton Liveの機能比較

Introはトラック数などに制限があり,購入するとしたら最低でもStandardをおすすめします。Max for Live(後ほど説明)などAbleton Liveの機能を最大限に生かしたいなら,Suiteの一択です。

Ableton Live 10 Standard

Ableton Live 10 Standard

Ableton Live 10 Suite

Ableton Live 10 Suite

AbletonはFL Studioに比べるとやや割高となりますが,教員や学生の方でしたらアカデミック版が用意されています。

Ableton Live 10 Standard アカデミック版

Ableton Live 10 Suite アカデミック版

仕事の速さ

おそらく立ち上げてから、最初の音を出すという点に関してはFL Studioに軍配が上がるでしょう。起動もFL Studioはさくさくで、一瞬で立ち上がります(Win版でもMac版でも)。ただAbleton Liveは一度テンプレートを作ると、その後の操作が格段に早くなります。プラグインの設定などをトラックごとセーブしたり、プロジェクトをまるごと他のプロジェクトに移植したりすることも可能です。対してFL Studioは、Project Bonesという機能を使ってプロジェクトをエクスポートすることはできるものの、それをそのまま他のプロジェクトでインポートできるわけではなく、一つ一つマニュアルでチャンネルやスコア、ミキサーのプリセットなどProject Bonesでエクスポートした情報を移植する必要があります。もし使いたいプリセットが膨大なようでしたら、新規プロジェクトを立ち上げてProject Bonesを読み込むよりも、そのプロジェクトを別名で保存してテンプレートとして使っていく方法しかありません。この辺はAbleton Liveに軍配が上がります。

カスタマイズ性

FL StudioとAbleton Liveは音楽を作るツールとして出来ることは大体同じものの、その出自と方向性は大分異なるものがあります。Ableton Liveという名前からもご察しの通り、もともとDJなどのライブパフォーマンスにも使えるDAWとして誕生しました。対してFL Studioは往年のドラムマシーンの仕組みをベースとしてつくられ、あくまでもスタジオで使う楽器という側面が大きいように感じます。Ableton Liveはリアルタイムで演奏可能なオーディオベースのDAW, FL Studioはスタジオでじっくりと打ち込むMIDIベースのDAWという、そのルーツは今も根付いているように感じます。実際にFL Studioでトラックを制作して、Ableton Liveを使ってパフォーマンスするというアーティストもたくさんいます。もちろん、Ableton Liveで制作してそのまま同じツールでパフォーマンスするというのも全然あり。

Abletonがパフォーマンスにも使えるエフェクトが充実しているのに対して、FL Studioにはプリセットでも良質なサウンドのシンセサイザーが多く搭載されています。

昨今はパフォーマンス(演奏)と作曲の垣根が曖昧になってきており、MIDIもオーディオもDAW間で機能的には大差がなくなっていますが、MIDIとオーディオどちらをベースとした作曲が多いのかという点もDAWを選択する決め手にはなると思います。例えば最近流行りのユーロラックなどを使いたい場合、Abletonは録音してタイムストレッチをしたりするのが簡単な上、CV Tools(Ableton Suiteのみ)というものを使えば、ユーロラックとの親和性も高まります。また,Ableton Liveの上位版ではMax for Liveというプログラミングを通して独自のプラグインやオンライン上に数多くあるMax for Live デバイスをダウンロードして使うこともできます。対してFL Studioはカスタマイズ性という面ではAbletonに劣るものの,MIDIの編集機能に関してはAbleton Liveよりも充実しているところがあります。他にMax for Liveのように独自なシンセやサウンドを作りたいというう場合,FL StudioにはFL FLowstone(旧FL SynthMaker)というものがあります。FL Studio12からは最初から付属していないので,個別にインストールする必要があるようです。

おわりに

以上を踏まえて,色々と悩むところはありますが,ぜひ一つDAWを決めてコミットしてみてください。

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Tomokazu Hiroki

バークリー音楽大学院(ミュージックプロダクション・テクノロジー・イノベーション専攻)でM.M.(音楽修士),バークリー音楽大学Post Mater’s Degree Fellowship(フェローシップ)を修了。Wwise認定インストラクター。Artful Designというコンセプトを軸に,XR音楽インターフェイスOPSYNなどを研究(Epic Games社よりEpic MegaGrantsを受賞)。音楽とテクノロジーを中心としたトピックを扱っています。

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