Film Scoring Basic 3 -structural phenomena(音楽の構成要素)-

Cadence(ケイデンス、終止形): 音楽の構造の中でCadenceは音楽進行上の中断および終了ポイントです。そのような音楽の中断は、重要なハーモニーやメロディーに到達したことの合図として、もしくは単純にリズミカルな流れを緩和させる手段として用いられるでしょう。いくつかの状況によっては、Cadenceは他の音楽の要素より重要な意味を持ちます。音楽が終止ポイントに到達する過程の感覚の方が、終止そのものを作り上げている要素を判別するよりも重要でしょう。そのような感覚が、音楽の基盤を作り上げています。

Tonality(調性): 予想外のkey(調)やmode(モード)の変化は音楽の構成要素の一つでしょう。(譜面上のkey signature(調号)の変更はされないかもしれませんが)

Tempo(テンポ): 拍子の速さの変化も音楽の構成要素の一つでしょう。これらの変化はAccelerando(次第に速く)やRitardando(だんだん遅く)のように緩やかに用いられたり、突然変化したりするかもしれません。

Meter(拍子): 聞き取れることができるBeat(拍)の細かさなどの構成や、拍子の変化もまた、音楽の構成要素の一つと言えるでしょう。これは拍子の変化といったように明らかに見えたり、リズム構成におけるわずかな変化だったりするかもしれません。

Rhythm(リズム): 効果的な音価の組織的な変化(音符の長さなど。テンポは変わらない)も音楽構造の一つです。

Dynamics(強弱の変化): 音量の変化も大事な音楽の役割の一つです。CrescendoやDecrescendoといった緩やかな変化だったり、突然の変化だったりするかもしれません。Dynamicsの記号によって変わるか、Density(密度)といった他の音楽の要素の変化によって生じる可能性もあります。

Density(密度): 音楽空間の密度の変化も、構図を変化させるものとして考えられます。

Timbre(音色、音質): 音色の変化、楽器間の違いや楽器群(金管、木管、ストリングスなどのグループ)の違いを聞き取れるようにすることも、音楽を構成する要素の一つでしょう。

Register(音域): 音楽イベントの音域の変化なども重要な役割です。また楽器が奏でられる音域を把握することはオーケストラモックアップをDAW上でしていく上で最も重要なポイントです。(バーチャルインストゥルメントの場合、楽器の演奏可能外の音でも録音できてしまう場合があります。高すぎる音域、または低すぎる音域は特別な事情がない限りなるべく使わないようにします。)

Texture(質感): リズムや声部の中のメロディーの変化も、音楽構造を作り上げるものとして解釈できるでしょう。

Motive(動機): 主要なメロディーやリズムのイベントに再び戻ることは、音楽の構成を分ける合図となり、音楽を形づける要因になるでしょう。そのまま繰り返したり変化を加えたりするときもあります。音楽の構成要素のひとつとして動機に戻ることを知覚することは、今まで述べてきた要素とは異なります。それはどれほど長い時間、リスナーが既出の題材を覚えているかという記憶力に依存します。

 

 

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Tomokazu Hiroki

バークリー音楽大学院(ミュージックプロダクション・テクノロジー・イノベーション専攻)でM.M.(音楽修士),バークリー音楽大学Post Mater’s Degree Fellowship(フェローシップ)を修了。Wwise認定インストラクター。Artful Designというコンセプトを軸に,XR音楽インターフェイスOPSYNなどを研究(Epic Games社よりEpic MegaGrantsを受賞)。音楽とテクノロジーを中心としたトピックを扱っています。

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