ボコーダー(Vocodex)とFMシンセ(Sytrus)を使ったベースサウンドの作り方について解説していきます。FLStudioをお使いのならSeamlessRという名前は聞いたことがあると思いますが、彼はDubstep、特にベース重視のトラックを作ることを得意としています。SeamlessRはYoutubeで様々な解説動画をアップロードしていたりします。そのチュートリアルは多くのプロデューサーに有意義なものだと思いますのでこのブログでも取り上げていきたいと思います。FMシンセをつかったアーティストとしてはSkrillexが有名ですが、そのようなサウンドづくりに応用が利くと思います。
今回紹介するテクニックはSeamlessRのHow To Bass 8: More Vocodex Bass + FMを参考にしています。これはFLStudioに収録されているSeamlessRのデモソングMenagerie、ドロップパートのベースサウンドについてのチュートリアルです。
FLPはこちらからダウンロードできます。
下の動画は僕がチュートリアルをもとにつくったベースです。
このベースはFLStudioの付属サンプルAah yeaをモジュレーター、Sytrusをキャリアとする構成からなっています。
SytrusのYMODはOP(オペレータ)のOP4とOP5をコントロールしています。OP4およびOP5はそれぞれOP1とOP3の高次倍音です。
OP2はOP1&3を異なる位相でモジュレートしたものです。
OP3は周波数を変えることでピッチワブルを作ります(異なる周波数の音を混ぜることで揺らぎが発生します。音叉によるチューニング、ギターのハーモニクスチューニングなどで生じる音の揺らぎと同じ原理です。)
OP4&5はさらに他のオペレータ(OP6)によって変調されています。YMODをコントロールするときに影響を与えます。
このパッチでは基本的にOP1とOP3の二つのベースが同時になっている仕様です。この構成をダイアグラムにすると次のようになります。
続いてVCXの解説に移ります。このプロジェクトではFilter Flatness, Band width, Modulator unison panning, Modulator unison shiftの4つのパラメータがオートメーションされています。
Modulator unison shiftはコーラスのような効果を出すのですが、パラメータを動かす際ピッチにも多少影響を与えます。これによりフォルマントモーフィングのような効果も加えられます。Modulator unison shiftのあとさらにModulator unison pannningによってパンニングもオートメーションされています。12時の方向でデフォルト、左右どちらに振るかでボイスパンニングのモードが変わります。Band widthはボコーダーの帯域の幅を調整します。Filter Flatnessは各帯域のピークの部分を鋭くするか、平らにするか決定します。実際に耳で確認して違いを聞いてみるといいでしょう。
またVCXの下半分のパラメータBand gain multiplierではEQのOutputゲインを調整しています。
プルダウンメニューからBand widthの項目を選択してください。ここでもいろいろパラメータが弄られていますが、ここでは各周波数の帯域幅を部分的に調整できます。
またModulator pitch shiftという項目にも変更が加えられています。これによってモジュレーターの各帯域のピッチをそれぞれ変更することができます。
使ってるパラメータは大体網羅しました。他にもおもしろいパラメータがあるのでぜひ弄り倒してみてください。
Tomokazu Hiroki
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